『佐賀県近世史料』に収載予定の「自警」について(№2)

2013年01月01日

 佐賀県立図書館 at 11:23 | Comments(0) | 佐賀県近世史料
 前回(8月29日付)に引き続き、『佐賀県近世史料』に収載予定の「自警(自らをいましめる)」をご紹介します。
 今回は“自警之二”“自警之三”です。これは、不幸にして、自らが不遇な立場に立った時、“どのように考えるのか、またその境遇にどのように立ち向かっていくのか”について記したものです。
 文中には、一般に使われていない難しい言葉が出てきますが、それらをあえて平易な言葉に直すことはしませんでした。古賀穀堂、あるいは西村館長さんが書かれた風雅な文章、そして言葉の持つ重厚さを壊さないようにしたためで、ぜひ傍らに「漢和辞典」を置いて読んでいただきたいと思います。


○自警
■自警之二
 屈辱、坎壈、薄命、数奇、千辛万苦、皆任天命、恬熙楽易、従容自得、安分固窮、心広体胖、縲緤鞭笞不足為辱、絶糧無衣、其楽有餘
 雖然、包括宇宙震動天地之心、未嘗頃刻忘矣

【解釈】
 これは古賀穀堂本人が不遇に処する時の警である。つまり、不遇に際しどのように対処すべきかを書いたものである。これは穀堂の大度量である。曰く、
 人に辱めらるるも、志を得ずして職を失うも、薄命なるも、運悪しく不遇なるも是天命である。よろしく恬熙にして楽しく平易なれ。従容として自得する所あれ、分に安んじて固より窮しても、心は広くあれ、体は胖であれ、縲緤の縄目も、鞭笞の刑罰も、心に疾しき事なくば辱ではない。糧は絶たれ衣無きも楽しみは餘りある。
 宇宙を包み天地を動かす、大勇猛心は未だ嘗て忘れてはならぬ。


■自警之三
 看他貴富栄利、不生健羨、不作趨付、看他落魄不遇、不生軽慢、不作厭棄

【解釈】
 他人の富貴や営利を見て、むやみと羨望してはならぬ。利のあるところとして趨り付いてはならぬ。他人の落ちぶれたるを見て軽蔑してはならぬ。又その人をいやがり棄ててはならぬ。



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