古賀穀堂の手紙から1 ~ 娘への想い① ~
2014年11月29日
佐賀県立図書館 at 15:04 | Comments(0) | 佐賀県近世史料
現在、佐賀市松原の徴古館では、「鍋島直正の本音」というタイトルで、佐賀藩第十代藩主鍋島直正の手紙が展示されています。その手紙の中には、娘貢姫にあてた手紙が展示されており、直正の娘に対する愛情がしのばれます。
【鍋島直正の本音】
http://www.nabeshima.or.jp/main/7.html
鍋島直正の師であり、後に御年寄となった古賀穀堂には3人の子供がいました。
有名な人物は、昌平坂学問所に遊学し、弘道館の教官となった大一郎(後の古賀素堂)ですが、今回は穀堂の娘「お袖」の嫁ぎ先である成富家の家族にあてた手紙を通して、穀堂のお袖へ愛情、そして成富家へ気遣いについてご紹介しましょう。
穀堂の娘お袖は、現在の佐賀市金立の成富家に嫁ぎます。夫は成富良左衛門(種長)、お舅さんは作兵衛。次の手紙は穀堂が娘の旦那である成富良左衛門にあてた手紙です。
〔ブログへの掲載ということで現代語訳して掲載しました。〕
【手紙1】
一筆啓上いたします。秋冷の砌いかがお過ごしでしょうか。
ご家族皆様におかれましては、益々ご健勝のことと存じます。
朝吉郎様(お袖の息子カ)も、さぞさぞ成長されたことと存じます。
私は江戸にて恙なく勤めておりますので、ご安心ください。
先達てより度々いただいたお手紙には、(良左衛門が)長崎警備のお勤めも滞りなく果たされ、佐賀に無事ご帰着なされたとの由、お慶び申し上げます。
昨年来の忙しさに取り紛れ、手紙も出さず大変失礼いたしました。
大一郎については、私の方へ呼び寄せたいと考えておりますが、いろんなことがあって、現在のところ見合わせております。
いずれ呼び寄せたいと思っております。それまでお世話になりますが、よろしくお願い申し上げます。
(中略)
この品はつまらないものではありますが、お見舞いの印としてお送りいたします。ご笑納ください。
どなた様へもご連絡を失礼しており、大変不行き届きと感じております。
恐々謹言
9月11日 古賀脩理
成富良左衛門様
これは古賀穀堂が娘お袖の旦那である成富良左衛門にあてた手紙です。
内容は、まず「お袖」の夫良左衛門の「長崎御番」を滞りなく勤め上げ、無事に佐賀に帰ってきたことへの労いの言葉が述べられています。
文面から察すると、自分の息子「大一郎(後の素堂)」を成富家に預けて江戸に赴いているようです。また、直接読み取ることはできませんが、父母の健康が思わしくないのか、致し方なく娘の嫁ぎ先に息子「大一郎」を預けています。
いずれ江戸に呼び寄せるので、それまで息子の面倒を見てほしいと娘の旦那である成富良左衛門にあてた内容になっています。
どうしても娘の嫁先に頼らざるを得ない、父親としてのやるせない気持ちが伝わってきます。
今回ここにご紹介した古賀穀堂の手紙は、現代語に訳してご紹介しましたが、『佐賀県近世史料』第8編第4巻「古賀穀堂」には、原本の写真及びその翻刻文を掲載しています。ご興味のある方はぜひご覧ください。
佐賀県内では、各市町立図書館及び公民館等関係機関に寄贈させていただいており、本館では、閲覧のほか貸出も行っております。また県外では、国立国会図書館をはじめ都道府県立図書館の他、関係機関にも寄贈しております。
なお、下記により購入も可能ですので、ぜひご利用ください。
佐賀県近世史料のご案内はこちら ↓↓
http://www.tosyo-saga.jp/kentosyo/kinsei/kinseitop.html
【鍋島直正の本音】
http://www.nabeshima.or.jp/main/7.html
鍋島直正の師であり、後に御年寄となった古賀穀堂には3人の子供がいました。
有名な人物は、昌平坂学問所に遊学し、弘道館の教官となった大一郎(後の古賀素堂)ですが、今回は穀堂の娘「お袖」の嫁ぎ先である成富家の家族にあてた手紙を通して、穀堂のお袖へ愛情、そして成富家へ気遣いについてご紹介しましょう。
穀堂の娘お袖は、現在の佐賀市金立の成富家に嫁ぎます。夫は成富良左衛門(種長)、お舅さんは作兵衛。次の手紙は穀堂が娘の旦那である成富良左衛門にあてた手紙です。
〔ブログへの掲載ということで現代語訳して掲載しました。〕
【手紙1】
一筆啓上いたします。秋冷の砌いかがお過ごしでしょうか。
ご家族皆様におかれましては、益々ご健勝のことと存じます。
朝吉郎様(お袖の息子カ)も、さぞさぞ成長されたことと存じます。
私は江戸にて恙なく勤めておりますので、ご安心ください。
先達てより度々いただいたお手紙には、(良左衛門が)長崎警備のお勤めも滞りなく果たされ、佐賀に無事ご帰着なされたとの由、お慶び申し上げます。
昨年来の忙しさに取り紛れ、手紙も出さず大変失礼いたしました。
大一郎については、私の方へ呼び寄せたいと考えておりますが、いろんなことがあって、現在のところ見合わせております。
いずれ呼び寄せたいと思っております。それまでお世話になりますが、よろしくお願い申し上げます。
(中略)
この品はつまらないものではありますが、お見舞いの印としてお送りいたします。ご笑納ください。
どなた様へもご連絡を失礼しており、大変不行き届きと感じております。
恐々謹言
9月11日 古賀脩理
成富良左衛門様
これは古賀穀堂が娘お袖の旦那である成富良左衛門にあてた手紙です。
内容は、まず「お袖」の夫良左衛門の「長崎御番」を滞りなく勤め上げ、無事に佐賀に帰ってきたことへの労いの言葉が述べられています。
文面から察すると、自分の息子「大一郎(後の素堂)」を成富家に預けて江戸に赴いているようです。また、直接読み取ることはできませんが、父母の健康が思わしくないのか、致し方なく娘の嫁ぎ先に息子「大一郎」を預けています。
いずれ江戸に呼び寄せるので、それまで息子の面倒を見てほしいと娘の旦那である成富良左衛門にあてた内容になっています。
どうしても娘の嫁先に頼らざるを得ない、父親としてのやるせない気持ちが伝わってきます。
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